※ 出来上がってる忍千前提で千尋×女体化忍人。後天的女体化で百合です。千尋のキャラ崩壊注意。
   スイッチ入っちゃった千尋が攻めでかなり積極的で若干エロいです。温い言葉責め有り。
   忍人さんが完璧に受けで、あんあん喘いでいるので、その辺も注意。以上が大丈夫な方のみどうぞ。
































   葛城忍人の憂鬱 01

       露の秘め事







「ん、んん・・・・・・」

 朝の陽射しが燦々と寝台の上に降り注いでいる。その目映い光に忍人は目を覚ました。ぱちぱちと何度か瞬きをして、寝惚け眼を擦りながら起き上がる。
 隣ではまだ千尋がすやすやと気持ち良さそうに眠っていた。忍人の夜着の端を掴んで、離そうとしないその様子に思わず笑みが零れる。
 昨夜は千尋の私室に泊まった。今日一日、珍しく二人同じ日に休みが取れたから、一緒に過ごそうと夜の内から訪れていたのだ。久しぶりの二人きりの夜は甘く、つい無理をさせてしまった。
 千尋の眦が微かに赤く腫れているのに、計らずも泣かせてしまったことを思い出して、忍人は苦笑いを浮かべた。そっと指先で額にかかる髪を避け、眦を撫でる。すると、千尋は忍人の指に擦り寄るように顔を寄せて、目を薄く開けた。長い睫毛に覆われた浅葱色の瞳が忍人をぼんやりと見つめている。

「んぅ・・・・・・」
「ああ、起こしてしまったか」
「え、え? お、おしひとさん・・・・・・!?」

 忍人が優しく微笑めば、千尋はふにゃりと笑って、それからしばらくじっと忍人を見て、微かに目を瞠った。それまで穏やかな色だったそれが驚愕に見開かれる。
 千尋はバッと勢いよく身体を起こすと、忍人を指差して、鯉のように口をぱくぱくした。忍人は千尋の反応がおかしいのに、小首を傾げながら、千尋の視線を辿る。そこに信じられないものがあった。

「な、何なんだ、これは・・・・・・」

 呆然と呟いた声は上擦っているにしても高すぎる。そうまるで女のような。・・・・・・女?

「忍人さん女の子だったんですか!?」
「そんな訳あるか! 昨日抱き合ったのに、君はもう忘れたのか!?」

 余りの出来事に気が動転しているのか、素っ頓狂な声を上げる千尋に忍人は反射的に怒鳴り返した。
 そうだ、昨日の晩、忍人は千尋を抱いた。男として、彼女と交わったのだ。だからこれは夢に違いない。大体、現実にある訳がない。昨日までは男だったのに、女になってしまうなんて。そんなこと、有り得るはずが無い。
 忍人は錯乱した頭の中で必死に自分で自分に言い聞かせながら、ぶんぶんと何度も大きく頭を振った。ついでに頬っぺたを抓ってみる。
 痛い。痛いが、これは感覚までも再現された現実に即した夢なのだ。暗示のように繰り返し、現実逃避をする忍人の身体に千尋は何度も目を瞬かせた後、怖々と手を伸ばした。指先が本来あるはずの無い膨らみに触れる。

「あ、柔らかい」
「千尋っ!?」

 夜着の上から必死に目を逸らしていたものを触られて、その感覚に忍人は観念せざるを得なかった。
 これは現実なのだ。どう考えても有り得ないことだが、恐らくきっと現実なのだ。
 千尋は面白そうに好奇心に満ちた瞳で忍人の身体のあちこちに触れた。咽喉仏が消えてすっと通った咽喉、明らかに華奢になってしまった肩、括れた腰、そして丸みを帯びた身体のライン。
 何故、今まで気付かなかったのか自分でも笑えてくるくらい、忍人の身体は様変わりしていた。それを千尋の手でひとつひとつ教えられて、忍人は絶望に目の前が真っ暗になるのを感じていた。あるはずのものが無く、無いはずのものがある。身体全体も作り変えられてしまったかのように、一回り小さくなっている。
 忍人がどん底に突き落とされ、暗い深淵を彷徨っていると、急に千尋に肩を強い力で押された。不意打ちに体勢を崩してしまい、後ろに寝転がる。

「ち、ちひろ・・・・・・?」
「ずるい。どんなに牛乳飲んでもマッサージしても大きくならなかったのに。ずっとずっとコンプレックスだったのに」

 寝台の上に押し倒されて、忍人は狼狽した声で彼女の名前を呼んだ。千尋は忍人の肩を押さえつけたまま、恨めしげな目でこちらを見ている。触っている内に嫉妬に駆られてしまったらしい。
 普段ならば女である千尋の身体など容易く跳ね返せるはずが、今の華奢で、筋肉ではなく薄い脂肪に覆われた身体では、全体重をかけて押さえつけてくる千尋に抗えない。
 千尋は忍人の夜着の合わせを強引に開くと、豊満な二つの膨らみを両の手のひらで包み込んだ。たゆたゆと揺れる乳房に違和感を覚え、忍人は微かに眉を顰める。

「おっきい。E、ううんFくらい・・・・・・?」

 千尋の手のひらでは余るほどの大きさの乳房を確かめるように撫で回して、千尋は呟いた。さっきから意味不明な異世界の言葉を連ねられて、忍人にはさっぱり訳が解らない。
 ただ千尋が胸に関して尋常ではない思い入れがあることは確かのようだった。そう云えば、初めて身体を重ねた時も千尋は恥ずかしがって、両腕でずっと胸を隠していた。別に忍人自身、女性の身体に特別なこだわりがある訳では無かったし、愛する千尋のものならばどうであろうと構わなかったのだが、千尋にとってはそうでは無いらしい。
 千尋の異常な熱気に気圧されて、忍人は固まってしまい、千尋のされるがままになる。千尋は忍人の乳房を一通り触った後、うっとりと頬擦りをした。

「良いなあ、ここまでとはいかなくてもせめてDくらいは欲しかったな」
「ち、千尋。さっきから訳が解らないんだが・・・・・・」
「ああ、忍人さんには通じませんよね。別に知らなくっていいことだし、気にしないでください」

 忍人の胸元に頬を埋めて、その滑らかな肌触りを楽しむ千尋に忍人は恐る恐る問いかけた。千尋は忍人の乳房を突付いたり揉んだり好き勝手に弄びながら、素っ気無い返事をした。
 どうやら千尋は忍人の意思をまともに汲み取ってくれる気が無いようで、好奇心からか、ひたすら柔らかな肉を堪能することに神経を費やしている。
 だが、忍人としては幾ら千尋が女性だとしても、むしろ女性だからこそ、自分だけほとんど裸の状態で圧し掛かられて、乳房を弄られているというのは、異様な光景にしか見えない。早く千尋が飽いて上から退けてくれることだけを願いながら、忍人は篭っていた身体の力を抜いた。正直に云って、自分でも未だ混乱していた。
 目が覚めたら女の身体になっていたのである。これに驚かないほうがおかしい。所詮他人事だからか、千尋は面白がってこうして忍人の身体で遊んでいるけれど、忍人にはこれからどうするべきか、そもそもこれは治るのか、治らなかったらどう生きていけばいいのか、そんな考えるだけで眩暈がしそうな事柄が目の前に立ちはだかっているのだ。
 忍人は瞼を閉じて、大きな溜息を吐いた。自分の何が悪かったのかが解らない。最近は大きな揉め事も無く、国も平和だった。昨日だって特に問題は無かったはずだ。それなのに、どうしてこんな事態になってしまったのか、忍人は何時もは欠片も信じていない神を恨まずにはいられなかった。そうこうしている内に千尋の行為はエスカレートしていく。

「んっ・・・・・・」
「あ、やっぱり気持ち良いんだ」

 桜色の乳首を摘まれて、背筋から脳髄へ駆け上ってくる痺れに忍人は思わず咽喉を鳴らした。千尋は忍人の反応に満足したのか、嬉しそうに声を上げてもう一度、乳首を摘み上げる。片方の手で乳房を揉みしだくようにしながら、親指で赤く染まる乳首を苛める。戯れのような愛撫だが、確かな刺激が快感として忍人の身体を痺れさせた。
 千尋は忍人の身体がぴくりぴくりと震えるのを目を細めて見遣る。その瞳は獲物を見つけた肉食獣のようだ。千尋の目が楽しげに眇められるのに、忍人は背筋が凍る想いがした。

「んんっ、ち、ひろ、やめっ・・・・・・」
「いつも私が止めてって云っても止めてくれないくせに」

 乳輪の周りをくるくると撫でられ、極めつけに乳首に軽く爪を立てられる。唇から漏れる鼻にかかった声を情けなく思いながら、身を捩って必死に千尋から逃れようとする。
 けれど、それも両手で束ねて掴まれることで封じ込められた。千尋は片手で器用に忍人の夜着の帯を解いて引き抜くと、頭上で両手を縛り上げる。両手が使えないのでは、後は足しか無いが、太腿の辺りに座られてはそれも叶わない。結局、忍人は千尋の下で微かに身動ぎすることしか出来なかった。
 千尋はその空色の瞳に嗜虐の喜びを宿らせて、忍人の白い裸体を見下ろしている。普段、閨の中で散々忍人に弄ばれていることに仕返しをするかのように、千尋は忍人を苛んだ。

「昨日のお返しです。女の子の身体なら私のほうが良く知ってるんだから」

 忍人の藍色の双眸を見据えて宣言する千尋に忍人は心の底から昨夜少し調子に乗ってしまったことを後悔した。久しく抱き合う時間も取れなかったから、忍人も千尋に飢えていたのだ。だからといって、千尋に無理をさせて良い理由になる訳も無く、ある意味この状況は自業自得と云えた。
 千尋の顔が鎖骨に埋められ、きつく肌を吸い上げられる。その間にも片手はたっぷりとした乳房をふにふにと揉み、反対の手で辛うじて下肢を覆い隠していた夜着を剥ぎ取る。肉付きの良くなった柔らかい太腿を指先で辿られて、びくりと身体が震えた。

「あ、うっ・・・んぅ・・・・・・」
「忍人さん・・・・・・可愛い」

 千尋はとろりと蕩けた瞳で忍人を見つめると忍人の額に貼り付いた黒髪を払う。白い額に口吻けて、それから眦に、頬に、そして最後に唇に。触れるだけの接吻を繰り返した。
 何時も忍人の下で受身で喘いでいる千尋が自分を押し倒して弄んでいる、その現状に忍人は頭がくらくらした。千尋は攻め手が思ったよりも楽しいらしく、調子に乗って忍人を責めている。
 それまでの可愛らしい口吻けでは無く、はっきりとした欲の篭ったキスを仕掛けられる。唇を擦り合わせ、舌を引きずり出されて、唾液が混ざり合う。歯列をなぞられ、口蓋を舐められて、忍人は千尋に翻弄されるばかりだ。千尋の接吻の上手さに驚いて、まともに反撃することも出来ない。
 何時の間にこんなに口吻けが上手くなったのか。最初の頃は触れるだけで精一杯だったのに。
 千尋の舌先は縦横無尽に忍人の口腔を蹂躙して、慌てふためいた忍人が上手く息継ぎが出来ずに呼吸困難になりかけてからようやく、その唇を解放した。

「んむ、はふ・・・・・・っは、ちひろ。君は・・・・・・」
「口吻け、上手になったでしょう? これ、全部忍人さんに教えて貰ったことなんですよ?」

 荒く呼吸をして、胸を上下させると乳房がふるふると揺れた。真っ赤になった顔で千尋を見上げると、千尋もまた大きく息を吐いて整えてからにっこりと笑った。
 確かに千尋がした口吻けは忍人が何時も千尋に行うものによく似ていた。千尋は誰かと接吻をするのは初めてだと云っていたから、参考に出来るのが忍人しかいないのは当たり前なのだが、そう云われて改めて、千尋を自分で染め上げてしまったのだと再確認させられた気がした。思えば、千尋が施す愛撫は何処か褥での忍人に似ている。普段自分が千尋にしていることを、同じように返されているのだと思うと、何とも奇妙な心持がした。同時に気恥ずかしさに頬が赤くなる。

「んうっ、はぅ・・・・・・」

 忍人が何やらおかしな実感をしている間に千尋は次の行動を起こしていた。桜色の唇が首筋から下っていき、乳房の真ん中でぷくりと尖って存在を主張している乳首を口に含む。温かな粘膜に包まれて、忍人は咄嗟に声を噛み殺せず、大きく喘いだ。ぞくぞくと背筋を駆け上る快感に自然と下肢が熱くなる。

「乳首、ピンクだ。形も良いし、弾力もハリもあって、おまけに感度も良いなんて。やっぱりずるい」

 口を離すと千尋は唇を尖らせながら、忍人の乳房をまじまじと見つめた。傷跡が跡形も無く消えてしまった白く柔らかな胸は千尋が指先を食い込ませればふにゃりと凹むが、マシュマロのように同じだけの弾力を持って跳ね返してくる。ふっくらと丸みを帯びた膨らみを手のひらで支えるように下から持つとしっかりとした重量を伝えてきた。元は桜色だった頂は千尋の愛撫に濃い桃色に染まっている。舌先で突付けば、びくんと身体を震わせて、忍人はきゅっと目を瞑った。

「千尋、もうっ・・・やめ、・・・何か、変だっ・・・・・・」

 懇願するように忍人は千尋を見つめた。畳み掛けるように与えられた悦楽に力が抜けて、身体の奥が熱っぽい。じわじわと込み上がる熱に浮かされて、忍人は瞳を潤ませる。今まで経験したことの無い感覚が襲い掛かってくるのに、忍人は戸惑いを隠せずにもぞもぞと身体を揺らし、太腿同士を擦り合わせた。
 だが、千尋は忍人の願いを別の意味で捉えたらしい。忍人の上から降りると、何も身に纏っていない下肢の間に指先を滑り込ませる。じんわりと滲む愛液を絡ませて、折り重なる襞をなぞれば、直接的な刺激に忍人の身体が跳ねた。

「あぁっ」
「やっぱり濡れてる。胸触られるの、そんなに気持ち良かったですか?」

 女の身体で感じる快楽に忍人は上手く対応出来ないまま、千尋の指に容易く翻弄された。そんなところまで女になっていることにショックを隠せず、惑う忍人を追い立てるように痺れが走る。
 男の身体とはまるで勝手が違うその感覚に忍人はびくびくと震えて、嬌声を上げた。甲高い声は自分のものとは思えなくて、違和感ばかりが増していく。

「もっと気持ち良くしてあげますね」
「や、いらなっ・・・ああっ・・・・・・」

 千尋の手で太腿を開かされ、足を立てさせられる。さすがに覗き込むようなことはされないけれど、確かに秘められた場所を露わにされ、濡れたそこが冷たい空気に晒される。
 燃えるような羞恥を覚えて、自分でする時はまるで気にしていなかったが、他人にされるとどれだけ恥ずかしいことなのか、忍人は思い知らされた。
 千尋の指がとろりと奥から溢れ出る愛液を纏って、狭い入り口に触れる。覆い隠すように閉じられた陰唇を広げられ、ぷくりと膨れた陰核に爪先が当たった。途端、背筋を電流が駆け抜ける。

「あぅっ・・・ひっ・・・・・・」
「へえ、こんな風になってるんだ」
「ち、ひろ、嫌だ、止めてくれ・・・・・・」

 透明な液体が流れ、いやらしい水音が立つ。千尋はわざと音をさせながら、襞を左右に開いて、奥まったところにある狭い入り口や赤く腫れた陰核を興味深そうにしげしげと見つめた。自身の秘所をじっと見ることなどそうあるものでは無い。見慣れない場所を観察して、千尋は感嘆の息を漏らした。記憶を辿って、自分が気持ち良いところを探っていく。
 忍人は千尋の視線に耐え切れず、必死に切ない声音で哀願しながら、身を捩った。男としてのプライドなどとうの昔にズタボロだったが、それでもこれには恥ずかしさに身が焼き切れそうだった。
 濡れた瞳で縋るように見上げると千尋はそれは綺麗ににこりと笑った。ようやく許して貰えるのか、忍人がそうほっと安堵の息を吐いたとき。

「ひあっ、ああっ」

 千尋の指が陰核の皮を剥いて、直接赤く充血したそこに触れた。さっきまでとは全然違う、強烈な快感が身体を支配する。身体が勝手に痙攣し、背中が浮いた。
 休む間も無く与えられる愛撫は容赦無く忍人を責め立てて行く。緩急をつけて、襞をなぞられたかと思えば、陰核を摘まれ、入り口を撫でられる。びくんびくんと過敏に反応する身体を千尋は注意深く眺めながら、指の動きを調節する。絶頂が訪れる寸前で何度も引き伸ばされた快楽は忍人の脳をじりじりと焦がしていった。

「こっちはどうかな・・・・・・」
「っひ、ぁぅ、・・・い、痛っ」

 千尋が小首を傾げて、人差し指を内側へ慎重に潜り込ませてくるのに、忍人は小さく悲鳴を上げた。固く閉ざされて、当たり前だがまだ誰にも触れられたことの無い内側は千尋の細い指でも受け入れられないと拒む。それでも千尋は諦めずにゆっくりとなるべく痛みが無いように注意を払いつつ、人差し指を挿入した。中は狭く、きつく千尋の指を締め付けてくる。千尋は反対の手で忍人の乳房を揉んで、緩い快楽を与えながら、忍人の内側を擦るように指を抜き差しした。
 忍人は涙を浮かべて、それに耐えるしかない。男を受け入れる際、女は慣れるまで痛いものだと知識では知っていたが、まさか自ら体験することになろうとは忍人は思っていなかった。初めて千尋と身体を重ねた時、千尋が泣きながら痛みを我慢していたことを思い出す。指一本でこれなら、男のそれを受け入れるなど、きっと辛くて堪らなかったに違いない。
 唇を噛んで、身体を突っ張らせながら、忍人は千尋の身を思った。考えている内にこれが本当に気持ち良くなるのか、不安にまでなってきた。千尋は快いと云ってくれるが、本当なのだろうか・・・。

「んっ、あっ・・・・・・」
「大分、慣れましたね。もう二本目入っちゃってますよ」

 だが、忍人の不安はすぐに消えた。次第に千尋の指に慣れたそこはスムーズに出し入れが出来るようになり、忍人は腹側の感じる部分を辿られて身体を小刻みに震わせた。指が馴染んだことを察した千尋は人差し指に中指を添えて、中へ入れる。増えた指に入り口は少し痛んだが、今度はすぐに慣れて、容易く二本の指を咥え込むようになった。

「ぁん、ぁぁぁ・・・・・・」

 千尋の指が内側を縦横無尽に動き回るのに、忍人はあられも無い声を上げて、必死に身体を強張らせながら、耐えるしか無かった。声を抑えようにもタイミングが掴めず、息をしようと口を開いた瞬間を狙って、千尋は敏感な場所を突く。探られるように、内側を這い回る指に忍人は振り回されて、荒い息を吐いた。
 時折、思い出したように陰核を親指で責められて、その度に内側がきゅっと指を締め付けて震える。とろとろと奥から溢れ出す愛液が指を伝って、千尋の手のひらから腕へと伝った。

「ほら、こんなに濡れて。びちゃびちゃです」

 ふいに千尋が中から指を引き抜いて、見せ付けるように忍人の目前に翳した。たらたらと愛液が滴る細く白い指が朝陽に照らされる様は酷く淫靡で、忍人は目を逸らすことが出来なかった。
 忍人の視線の先で千尋はそのまだ少女めいた面差しには似合わない妖しい笑みを浮かべて、赤い舌先を伸ばして腕まで垂れた透明な液体を舐め取る。

「ふふ。人のものなら、甘いんですね・・・・・・」

 その言葉に何時だったかの自分を忍人は思い出す。千尋の愛液に濡れた指を彼女が恥ずかしがると知っていて、目の前でしゃぶって見せた時のことを。そして、その指を千尋の唇に差し入れたら、自分の体液の味に千尋は不味そうに眉を顰めて、忍人の感覚が解らないと訝しげな目で見ていたものだ。
 今、千尋はまるで蜂蜜でも食しているかのように、忍人の愛液を舐めている。同じことを、同じように返されている。
 あの時はこの行為がこんなにも卑猥で恥ずかしいものだとは思っていなかったのに。それとも普段は清廉で、今まで忍人の下で何も知らない少女として振舞っていた千尋がするからこんなにも淫らに見えるのだろうか。忍人には解らなかった。
 ただ、今の千尋が普段とは違うということだけは明らかで。そんな千尋に忍人が女の身体で欲情してしまったことも確かなことだった。
 千尋は愛液を纏う指をひとつひとつ丁寧に舐め上げて、最後に薔薇色の唇を舌先で拭ってみせる。その妖艶な仕草にじくりと下肢が疼いて、またとろりと中から何かが溢れてくる。千尋の些細な仕草ひとつで感じてしまう。身体の奥が熱くて、ぐらぐらと理性が煮えている。散々に高められて、いきなり放置された身体は焦れ切っていた。
 堪らず太腿同士を擦り合わせて、誘うように腰を揺らす。それなのに千尋は忍人の気持ちなど知らぬ振りで、その白魚のような指で忍人の首筋から胸元までをゆっくりと辿るだけ。

「ちひ、ろ、ちひろっ・・・・・・」
「欲しいならちゃんと云ってくれないと解りませんよ?」
「や、もう、もう・・・・・・」

 千尋の指は忍人の性感帯を的確に探って、緩い刺激を与え続けた。ぴりぴりと微弱な電流が肌の下に流れて、内側から忍人を煽り立てるのに忍人は涙ながらに哀願する。何度もねだるように舌足らずな擦れた声で千尋の名前を呼ぶ。千尋はそんな忍人の赤くなった眦を撫で、赤くなった唇に触れると残酷にもにこりと笑って、具体的な言葉を欲した。
 わざと焦らして、恥ずかしい科白でおねだりをさせたいのだと、忍人は経験から知っている。だが、この状態でその言葉を発したら自分が自分でなくなりそうで怖かった。
 女の身体で、その快楽を享受して、悦んでその先を、千尋の愛撫を求めている。それだけでも精神がおかしくなってしまいそうなのに、卑猥な言葉で千尋に絶頂をねだるなど出来る訳が無い。
 遠回しな言葉で縋るように千尋を見つめる。腕が拘束さえされていなければ、自分で自分を慰めてしまっていたかも知れない。それくらい、身体が熱くて堪らなかった。

「しょうがないなあ。こういう時、どんなに辛いか解ってくれました?」
「解った、解ったから・・・・・・っ!」

 千尋は忍人の眼差しに無理を悟ったのか、大袈裟に落胆の溜息を吐いて、忍人の瞳を覗き込んだ。云い聞かせるように忍人に向かって言葉を紡ぐ。それに忍人はこくこくと何度も頷いた。
 切羽詰った声で千尋を欲しがる忍人に千尋は満足げに微笑んで、身体を下へずらすと忍人の立てられた膝の間に頭を潜り込ませた。

「別に変な味しなかったし、大丈夫だよね」
「あっ、ああっ、やっ、何っ・・・・・・?」

 確かめるように少し躊躇いながら舌先で赤く腫れた襞を辿る。その度に白い太腿が震え、細い腰が跳ね上がった。甘い嬌声が千尋の耳まで届く。その声に煽られたのか、千尋は思い切って薄い舌でぺろぺろとそこを舐めた。
 忍人は指とは違う、柔らかなものが触れる感覚に戸惑ったような声を出して、必死に顔を上げた。白い太腿を両の手で掴んで、千尋はそこに顔を埋めている。何が当たっているのかは一目瞭然だった。
 吹っ切れた千尋は一気に忍人の性感を追い立てるように舌を中へ潜り込ませ、唇で陰核を挟み、溢れる愛液を啜った。いやらしい水音が聴覚から忍人を犯していく。

「ああっ、やあっ、ち、ひろ、ちひろ・・・・・・っ」

 目の前がちかちかして、忍人はぎゅっと目を瞑った。未知の感覚が背筋を駆け上ってくるのが怖くて堪らない。それが達するということだと頭では解っているものの、初めての体験に否応無く身体が竦んだ。それなのに、下肢が熱くて、もどかしくて、知らず知らず千尋の唇にそこを押し付けるような形を取ってしまう。
 忍人の欲求に応えようと千尋の舌が敏感な陰核を突いた。びくっと大袈裟に痙攣した身体がまだ男を咥え込んだことの無い内側を締め付けて、奥からとろとろと愛液を零す。
 強烈な快感に目の前の身体に縋りたいと思うのに、拘束された両腕がそれを許さない。きゅっと足の指を敷布を掴むように丸まらせて、忍人はひたすら千尋の名を繰り返した。

「あぅ、ああぁっ・・・・・・!」
「気持ち良かったですか? それが女の子のイくってことですよ」

 抑え切れない嬌声を漏らしながら、身体を大きく震わせた忍人のぼんやりとまだ余韻に濡れた瞳を覗き込んで、千尋が微笑んだ。忍人は目を何度も瞬かせて、千尋を見ると荒い息を吐き出す。
 瞬きをする度にほろほろと眦を伝う涙。顔を真っ赤に染めて、余りの快楽に泣きながら、無防備にも千尋を見つめる忍人の表情はとてつもなく色っぽい。
 千尋はごくりと唾を飲んで、自分の夜着の紐を解いた。性急に脱ぎ捨てると、控え目な乳房の頂をつんと尖らせ、下肢をしどどに濡らした、欲に溺れた身体が姿を現す。
 忍人を責めている内に千尋もまた、確実に忍人の痴態に煽られ、欲情していた。未だに熱い吐息を漏らして呼吸を整えている忍人の触り心地の良い太腿を掴んで折り曲げると、上へ持ち上げる。
 尻が褥から浮き上がる感覚に忍人は何をされるのかと不安げな目で千尋を見た。絶頂して弛緩した身体は千尋の思うがままだ。滑らかな太腿に白く肉付きの良い尻、赤く熟れて快感にひくついている秘められた場所。忙しなく上下しているふくよかな乳房になだらかな腹部まで全て千尋の自由に出来る。
 そう思うと、千尋は欲に抗えず、忍人の太腿を掴んだまま、膝立ちで覆い被さるように身体を重ねた。秘部と秘部が触れ合うように体勢を調整する。
 柔らかな身体に溺れるように、千尋は忍人を抱き締めて、ひたすら腰を擦り付けた。一度目の絶頂で理性の溶けた忍人はそんな千尋のされるがままに身体を揺らして、千尋を迎え入れる。

「あっ、んっ、千尋、ちひろっ・・・・・・んんっ」
「忍人さんっ、おしひとさんっ・・・・・・!」

 目の前に赤く色付く唇を見つけ、千尋は夢中で自分の唇を押し当てた。技巧などまるで無い衝動的な拙いキス。互いに滑る舌を差し出し合い、何度も吸っては絡め合う。唾液が唇の端から溢れて顎を伝い、酸欠になりかけても、口吻けを止めようとは思えずに、千尋はただ忍人の舌を一心不乱に吸った。

「んふ、っはあ・・・・・・あっ、あぅ」
「っは、はむ、ぁっ、っふぅ」

 ちゅくちゅくと音を立てて、乳首を吸えば、忍人は快感に耐えるようにきゅっと瞼を閉じた。長い睫毛からぽろりと涙が零れ落ちる。それを舌で掬い取ると、忍人はその感触に更にきつく目を瞑った。
 自分よりも身長も体格も僅かに大きな身体は千尋の腕にしっくりと馴染む。ぎゅうっと柔らかな肢体を抱き締めて、豊満な乳房に顔を埋めると甘い汗の匂いがした。その白い肌を汚すように痕を残していく。真っ赤な鬱血が幾つも胸元に散り、首筋の際どいところにまで及んでいるのを見て、千尋は満足げに笑いながら、再び乳房に唇を落とす。

「んっ、っはぅ・・・・・・ち、ひろ、手っ・・・・・・」
「忘れてた」

 抱き締められる分だけ、自分も抱き締め返したいと忍人が縛られた両手を動かして訴える。それに気付いた千尋は顔を上げると手を伸ばして、腰紐の端を掴むと、きゅっと引っ張った。かなりきつく縛ったが、結び方としては普通に蝶々結びにされていただけの腰紐は簡単に解け、ようやく解放された忍人は安堵したように吐息を漏らす。

「痕、残っちゃいましたね」

 白い手首に薄っすらと残る赤い痕を千尋は反省するように指先でそっと辿った。数時間後には消えるような微かなものだが、忍人の白い肌には際立って目立って見える。
 忍人はそんな千尋の手を払うと、ずっと上で固定されていた腕をゆっくりと動かし、その手を千尋の背中に回した。

「いい、からっ、千尋っ」

 嫋やかな身体を押し付けながら、熱っぽい視線を向けられて、千尋は僅かに目を瞠って、それからにこりと微笑む。忍人の身体に自分の身体を重ね合わせ、隙間無く密着させた。
 肌と肌が体温を伝える。熱いくらいの温度は互いの皮膚を溶かしていくようだった。二人を阻むのは薄い一枚の皮だけ。それが酷く疎ましく感じて、千尋はもっと触れ合うようにと唇を合わせる。

「んくっ、んむ、んんんっ」
「ぁふ、はんっ、んっ・・・・・・」

 敏感な場所が擦れ合って、ぐちゅぐちゅと愛液が混ざり合う音がした。身体中が互いの汗と唾液と体液に塗れて、べたべたする。それでも飽きずに口吻けを交わしては、唾液と唾液を交換し合った。千尋が忍人の舌を吸うと、忍人は千尋の口蓋を撫でる。同じように混ざり合った唾液を啜って、潤んだ眼差しで見つめる。理性を失った二人は欲望のままに互いを求め合った。
 ぴっちりと重なり合った二つの身体を離すまいと千尋が腕に更に力を込めて、必死に快楽を追って腰を揺らすと忍人は動き易いようにと更に足を大きく開く。
 動く度に触れ合った襞と襞がぬちゃぬちゃと卑猥な音を立てる。柔らかな肉と肉が擦れ合う感覚は今までのどれとも違った。自慰とも、普段のセックスとも違う快感が二人を支配する。蕩けるような悦楽に犯されて、まともな思考が維持出来なくなる。目の前の相手しか認識出来ず、それを際限無く欲してしまう。
 恥ずかしい格好も、何時もなら唇を噛んででも抑える喘ぎ声も、獣のような相手を気遣う理性さえ失くした交わり方も。我に帰って顧みたら絶対に後悔するような全てが快楽の前には容易く霧散する。

「ちひろっ、もっと、もっとっ・・・・・・!」
「あんっ、あっ、あぁっ、そこ、だめっ・・・・・・」

 ねだるように腰を振って、忍人は千尋のそこに自分の秘部を押し付けた。瞬間、陰核に触れて、千尋はびくっと身体を震わせる。千尋の反応に忍人は煽るように腰を動かす。
 興奮状態で、心も身体も異常なほど高まっていた。何時、絶頂を迎えてもおかしくないのに、決定的な刺激が足りず、もどかしさに二人はひたすら秘所を擦り付けて、互いの舌を吸う。
 乳房同士がぶつかりあって、固く尖った乳首と乳首が擦れ合う。忍人の足が千尋の腰に絡んで、ぎゅっと引き寄せる。互いに一番感じる場所を押し付けあって、ぞくぞくと背筋を駆け上る快感にうわ言のように声を上げた。身体中、触れ合わないところが無いくらい密着して、ぎゅっと目を閉じる。

「あぅっ、ちひろ、も、イくっ」
「わたしもっ、わたしも、・・・・・・っん、んんんぅ!」
「んーっ!」

 感極まった嬌声も、乱れ切った吐息さえ奪うように口吻けながら、二人はほぼ同時に達した。さすがに呼吸が苦しくなって唇を離せば、紅を差したように赤い唇が荒い息を吐き出す。
 その様をしばしの間、熱に潤んだ眼差しで眺めた千尋は忍人を抱く手を離さないまま、ごろりと寝台の上に横になった。自然、忍人もまた千尋の方を向くことになる。
 忍人はぼんやりと千尋を見つめ、まだ胸を上下させて深呼吸している。赤らんだ顔はまだ熱に浮かされているようで、忍人のここまで快楽に蕩けた表情を見たことの無かった千尋は新しい発見に得意げに微笑んだ。眦に伝う涙を吸い取るように、唇を押し当てる。
 元々女性的とまでは云わないまでも中性的な雰囲気を持ち、千尋がふとした瞬間、思わず見蕩れるほどに丁寧に整った作りだった相貌は少し線が柔らかくなっただけで、その身体ほど変わってはいない。滑らかな頬にキスを落として、汗に濡れた前髪を梳いてやると、無意識に心地好さそうに目を細める。千尋は誘われるように、額と額を擦り合わせるようにして、その唇に口吻ける。
 触れるだけのキスを何度も繰り返して、そのふくよかな胸に顔を埋めて抱き締めると、ようやく落ち着いて理性を取り戻した忍人が何とも罰の悪そうな顔をした。
 そんな忍人を無視して、千尋は汗に濡れた肌の柔らかさを愉しむ様に頬を摺り寄せる。それを忍人は拒むように、身体を起こした。愛液やら唾液やら汗やらでどろどろになった身体の見慣れぬ様子に色んな意味で呆然としながら、忍人はこちらもまたぐちゃぐちゃになった夜着を肩に羽織る。

「はあ・・・・・・」

 袖を通し、腰紐を結ぼうとしたところで、明らかに変わってしまった自分の身体を再び直視する羽目になる。胸元に散らばる赤い印に忍人は深い深い溜息を吐いて、嘆くように額に手を当てた。
 女になるだけでも衝撃で頭がどうにかなりそうなのに、女である千尋に弄ばれるなんて、そう大きくない忍人の許容量を満たして、溢れさせるには十分過ぎる出来事だ。
 落ち込む忍人に千尋は更に追い討ちをかける。抱擁を拒まれて初めは不服そうに唇を尖らせた千尋だが、すぐに良いことを思いついたとばかりに忍人を見上げた。

「ねえ、忍人さん、一緒にお風呂、入りましょう?」
「は?」

 小首を傾げて上目遣いで見つめてくる千尋に忍人は狼狽えた。別に風呂くらい一緒に入ったって何の問題も無い。王の私室であるここは、そう遠くない場所に湯殿が用意されている。懇意の采女を上手いこと言い包めれば済む話だ。済む話なのだが、今の忍人は嫌だった。男の身体だったら即答してやれたのに。忍人はうっと言葉を詰まらせる。
 忍人の反応に千尋は最終手段とばかりに昨日の夜の約束を持ち出した。

「だって、今日はずっと一緒にいてくれるって云ってくれたじゃないですか」

 云った。確かに云った。互いに想いを通わせて、身体も繋げた二人だったが、多忙な王と将軍であるからには二人きりの時間などそう取れるはずも無く。だから、いつも中々一緒にいられない分、明日はずっと一緒にいようと約束した。二人きりで寄り添って過ごそうと決めた。千尋の好きな場所に行って、好きなことをしようとも云った。
 でもそれは男の姿だった時の話で。今の忍人は千尋の目の前から今すぐにでも逃げ出して、誰にも会わないよう、固く鍵をして自室に閉じこもってしまいたかった。
 だが、うるうると瞳を涙で濡らして忍人を見上げる千尋に最終的に兄弟子達に負けず劣らず千尋に弱い忍人が勝てる訳も無かった。

「・・・・・・解った。采女に支度を頼んでくる」
「やったぁ! 久しぶりですね、一緒にお風呂♪」

 渋々、千尋の言葉に頷いて立ち上がる忍人の背に千尋の至極嬉しそうな声が届く。子どもみたいにはしゃいだ声音は最中に見せた妖艶さとは程遠い。
 と、そこまで考えて、忍人は何度も頭を振ってその思考を追い払った。頬が知らず知らず赤くなる。さっきのことは忘れよう、そう決意する。あんなのは夢だったのだ、そうだ。夢に違いない。
 必死に現実逃避をしようとする忍人の元に再び注がれる楽しげな、ある種能天気にも聞こえる声に忍人は今度は別の意味で何度も頭を振った。この状態が何時まで続くのか、果たして元の姿に戻れるのかすら解らないが、今後もまた千尋に振り回されることは間違いない。それを思うと、憂鬱ばかりで頭が埋め尽くされてしまいそうだった。
 千尋だけで済めば良いんだがな、と忍人は他人で遊ぶことが大好きな人間の顔を幾人か思い出して、長い溜息を漏らしながら、扉の向こうで控えているであろう采女を呼んだ。










 おっぱいと百合エロが書きたかった。後悔はしていない。
 誰が読むんだこんなのっていうくらい、趣味に走りましたすみません。でも後悔も反省もしてない。これの為に理想のプロポーション探しに二次元三次元問わずバストサイズを調べまくりました。おっぱいは正義! 私、おっぱいフェチすぎるだろ・・・。
 ちなみにこの話の女体化忍人さんのスリーサイズはB91W60H89のFです!(お前) 千尋はBかCだと思ってるんですが、この話ではBで。B77W54H76とかそんな感じ希望。千尋は貧乳を気にしてれば良いんじゃないかな。